春のセンバツ3.18開幕「初戦で散る高校・残る高校」完全予想
第94回センバツ高校野球大会(18日開幕、甲子園)の組み合わせが4日、決まった。1回戦全16試合の行方を占った。
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■第1日(18日)
第1試合は浦和学院が大分舞鶴との開幕カードを制す。浦和学院は左腕・宮城と右腕・金田の二枚看板が昨夏の甲子園を経験。遊撃手も兼ねる金田は昨秋公式戦で9打点。大分舞鶴は21世紀枠ながら、九州大会で準優勝の大島と1点差の惜敗を演じるなど地力はあるものの、浦和学院が上回る。
第2試合は初出場の和歌山東が倉敷工に競り勝つ。倉敷工はチーム打率.389の強力打線だが、和歌山東は県大会で智弁和歌山、近畿大会で京都国際を倒した「強豪校キラー」。和歌山東が初出場初勝利を飾る。
第3試合はクラーク記念国際と九州国際大付の地区王者対決となった。スポーツライターの美山和也氏はこう見る。
「クラーク記念国際は、かつて駒大岩見沢を率いた佐々木監督がボール2個分ほど大きなホームベースを使って打撃練習をしています。そのため、外角球に強い選手が多い。そんなユニークな強化方法で北海道を制しましたが、九州国際大付は若生前監督時代から股関節を中心とした下半身のトレーニングを重視していて、冬の間にパワーアップしています。1年生の4番・佐倉を中心に昨秋の九州大会は4試合6本塁打で計43得点。秋の公式戦18本塁打の打線は脅威です。クラーク記念国際は好チームですが、九州国際大付が勝つと思います」
■第2日(19日)
第1試合は広陵と敦賀気比のこちらも地区優勝校同士が激突する。
「広陵の右腕・森山は昨秋12試合を投げて防御率2点台。内海、1年生の4番・真鍋ら中軸は勝負強い。敦賀気比のエース上加世田は最速144キロ。4番で主将の大黒柱ですが、投手としては昨夏の甲子園で投げていない。つまり、打者としての評価が高いということ。総合力で広陵が上回るとみます」(スポーツ紙アマチュア担当キャップ)
■情報収集能力が武器の東京代表
第2試合は昨夏の甲子園4強の原動力となったエース左腕・森下が牽引する京都国際が長崎日大を倒す。第3試合は二松学舎大付と聖光学院の組み合わせ。高校野球雑誌「ホームラン」元編集長の戸田道男氏がこう言う。
「二松学舎大付のエース布施はいいカーブを持っていて緩急が使える好左腕。市原監督は大江(現巨人)や昨年の秋山(現ロッテ)ら左投手の育成に定評があります。4番・瀬谷は昨秋の公式戦で14打点。昨夏の甲子園の経験に加え、大きいのは市原監督の存在です。人当たりが良く、各方面の人脈が豊富で、情報収集能力にたけています。熱心にライバル校を視察していて、監督でありスコアラーでありスカウトでもある。聖光学院も丸裸にするでしょう。二松学舎大付が勝つとみています」
■第3日(20日)
第1試合は山梨学院と木更津総合の関東の実力校対決となった。
「木更津総合はプロ注目の最速146キロ右腕・越井が中心。そのエースが昨秋の関東大会後に声を出してほえながら投げるのをやめたそうです。千葉では良くても甲子園では注意される可能性がありますから。しかし、それで調子を崩したというのです。対する山梨学院はチーム打率.409の強力打線が武器。1番・鈴木は昨秋の公式戦の打率が6割超えで、1年夏から4番の高橋も強打者。さらにエース榎谷もMAX144キロの好投手でチーム力が高い。山梨学院が上回ると思います」(前出の美山氏)
第2試合は日大三島が金光大阪を下す。前・報徳学園の永田監督が率いる日大三島のエース松永は制球力が武器。打っては打率5割超えで京井、池口とともに打線でも中軸を担う。
第3試合は高知と東洋大姫路の古豪対決。前出の戸田氏がこう言う。
「東洋大姫路は1試合平均1失策以下の堅守。近畿大会で智弁学園を完封したエースの森は変化球が多彩で安定しています。ベテランの藤田監督がこの大会限りで勇退するので、初戦敗退では格好がつきません。高知は四国を制した実力校ですが、できれば森木(現阪神)が在籍していた昨年、甲子園で見たかった。今回は東洋大姫路が上回るのではないでしょうか」
大トリ登場の優勝候補筆頭は…
■第4日(21日)
第1試合は東京大会1試合平均8.3得点の強打の国学院久我山が初出場の有田工を倒す。第2試合は天理が星稜との強豪校対決を制す。星稜はマーガードと武内の二枚看板を擁し、林監督が今春限りで退任することが決まっているが、天理打線は戸井、内藤を中心にチーム打率.360と破壊力抜群。188センチ右腕の南沢はコントロールがいい。天理は昨春の4強超えを狙っており、総合力で上回る。第3試合は東海大会4強から逆転選出され、話題となった大垣日大が21世紀枠の只見を倒す。
■第5日(22日)
第1試合は1年生ながら高校通算50本塁打の佐々木を軸に打線が活発の花巻東がプロ注目の市和歌山・米田を攻略し、初戦を突破する。第2試合は関東覇者の明秀日立が最速146キロ左腕・大野を擁する大島に勝つ。
「大野はプロもリストアップする左投手。県立校ながら打線も悪くないが、明秀日立はとにかく攻撃がしつこい。14本塁打と長打力がありながら、21盗塁と小技も絡めてくるので、投手はかなり消耗します。明秀日立打線が大野を攻略するのではないか」(プロ球団スカウト)
第3試合は強肩強打の捕手・松浦が引っ張る広島商が21世紀枠の丹生を下す。
■第6日(23日)
第1試合は明治神宮大会を制した優勝候補筆頭の大阪桐蔭が鳴門を倒す。
「鳴門のエース左腕・冨田は昨秋42回を投げて45奪三振、防御率0.86。守備も7試合で4失策と堅く、うずしお打線もいいのですが、大阪桐蔭の層の厚さはダントツ。プロ注目の捕手・松尾が、最速145キロで今大会注目の1年生左腕・前田、2年生右腕・川原、別所ら強力投手陣を引っ張っています。初戦最後の登場で、30日の決勝まで8日間で5試合の過密日程になるので、球数制限も焦点になるが、これだけ好投手を抱えていれば、問題なさそうです」(前出のスポーツ紙キャップ)