(1)オリンピックの憲法がひっそりと改正、承認されていた!
オリンピックの理念は究極的にスポーツで世界平和を構築することである。メディアがこれまで批判してきたオリンピックの肥大化もプロ化も商業主義化もすべてこの理念を実現するための過程であると私は見てきた。オリンピックやそれをつかさどる国際オリンピック委員会(IOC)を本当に批判するならば、世界平和の構築に向かって今どこにあるかを問うべきだ。
折しも北京冬季五輪が終わった直後にロシアがウクライナに侵攻した。北京での平和の祭典にわざわざやってきたプーチン大統領が戦争を始めたのだ。この矛盾に早速、IOCも声明を出して非難したが、本心でオリンピック休戦を実践するならば違った展開があったのではないか?
北京冬季五輪にはIOCに自戒を求める多くの懸案事項が噴出した。外交的ボイコット、不可解な競技裁定、ロシアのドーピング問題など枚挙にいとまなしだが、オリンピックの憲法、五輪憲章からその課題についてひもとき、論ずべきと悟った。
東京五輪2020の最中、その公式ウェブサイトに私は驚くべきリストを発見した。メダルという項目をクリックすると、そこにはなんと金メダル獲得数順位一覧が展開されているではないか? 五輪が始まると必ず新聞紙面に掲載されるリストと同様のものである。なぜダメなのか。そこには「スポーツで世界平和」のためのくびきがあるのだ。