(1)オリンピックの憲法がひっそりと改正、承認されていた!
■憲章第57条<国別メダルランキング>
オリンピック憲章第57条は「IOCとOCOG(組織委)は国ごとの世界ランキングを作成してはならない……」と明確に記している。なぜか? 同憲章第6条に「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない……」と規定されているからだ。世界平和構築のためにまず越えなければならないハードルがある。それがナショナリズムである。選手はそれぞれの国(あるいは地域)を代表してオリンピックに参加するが、それは形式上のことであり、本質的にはあくまでも選手対選手、チーム対チームが競い合うのがオリンピックである。であれば、当然のことながら、国別ランキングを求めることこそオリンピック憲章違反となる。
■理念を捨て、ナショナリズムをあおる変節に愕然
オリンピックが始まれば、自国の選手を応援する熱い日々を世界中の誰もが経験する。これが現実で、新聞各紙も競って国別メダル数一覧を掲載、ナショナリズムをあおる。メディアは仕方ないが、オリンピズムを推進するIOCや組織委は作る根拠がない。それが東京五輪2020のウェブサイトに堂々と鎮座しているのである。五輪が開催された翌日、昨年の7月24日のことだ。私はIOCと組織委にそれぞれメールと電話で疑問を投げかけた。明確な回答はこなかったし、サイトの変更もなかった。