<23>ドーピング違反のロシア人選手を見て…私の心の中で悪魔が囁いた
ウクライナが戦火に包まれる中、13日に北京パラリンピックが閉幕した。ロシアの休戦決議違反に加え、ドーピング問題もまだ解決していない。
ロシアはスピードスケートも強豪国のひとつ。そのドーピングに、私も“関与”したことがある。もちろん、使ったわけじゃない。2012年、パベル・クリズニコフという選手が世界ジュニア選手権男子500メートルで銅、1000メートルで金を獲得。しかし、その大会でドーピング違反が発覚してメダル剥奪と2年間の大会出場停止処分となった。クリズニコフはまだ17歳だった。14年に競技生活を再開したが、同時に彼の復帰に対する反対運動が起きた。その運動に署名したことがある。
「ルールを犯したアスリートを野放しにしていいのか。この神聖なリンクに上げてはいけない」
遠征先の宿舎で日本代表のスタッフが持ってきた署名運動の書類にはそんなことが書いてあったらしい。通訳さんかドクターが訳して説明してくれた。その署名が正式なものなのか、どれほど効力があるものだったかは分からない。