著者のコラム一覧
岡崎朋美長野五輪メダリスト

1971年、北海道清里町出身。94年リレハンメルから98年長野、2002年ソルトレークシティー、06年トリノ、10年バンクーバーと日本女子最多の冬季五輪5大会出場。長野で日本女子短距離選手初のメダル(銅)を獲得した。07年に結婚、10年12月に女児を出産。14年ソチ五輪代表入りを逃し、現役引退。20年マスターズ国際スプリントゲームズで世界新記録を更新して金メダル獲得。現在は全国各地で講演会を行う。聖徳大学客員教授。日本学生陸上競技連合理事

<23>ドーピング違反のロシア人選手を見て…私の心の中で悪魔が囁いた

公開日: 更新日:

 レース5日前の朝、起きてツバをごっくんとのんだ瞬間だった。

「あ、これはやっちゃったな」

 喉に痛みが走り、すぐに風邪をひいたと分かった。すぐにチームドクターのもとへ駆け込んだものの風邪薬は飲めず、イソジンもドーピング検査に反応するリスクがあると聞いてなす術なし。結局、のど飴をなめ、首元を温めるくらいしかできなかった。

 特に隠すつもりもなかったが、その日のうちに記者さんから「岡崎さん、喉大丈夫ですか?」と聞かれ、何で知っているの!? と困惑した。が、記者さんの次の言葉で“犯人”はすぐ分かった。

「長田監督から聞きましたよ」

 私には、小平奈緒選手のような「実は1カ月前に右足首を捻挫して……」という涙の後日談すらさせてもらえなかった。

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