著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

(5)オーストラリア戦のCBコンビ予想 吉田麻也と板倉滉は互いの特徴を熟知している

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 森保日本の一大決戦であるオーストラリア戦が目前に迫ってきた。

 21日まで12人で活動していた日本代表の練習に主将・吉田麻也(サンプドリア)や最終予選4戦連続ゴールのイナズマ・伊東純也(ゲンク)らが22日に合流。総勢21人が眩しい太陽が照り付けるネットストラタ・ジュビリー・スタジアムで夕方から非公開練習を行った。

■気がかりな大迫と酒井抜きの最前線と最終ライン

 戦術確認がメインだったと見られるが、一番の注目点は大迫勇也(神戸)と酒井宏樹(浦和)不在の先発メンバー。最前線、最終ラインの顔ぶれが大いに気になるところだ。

 22日のシドニーは快晴に恵まれた。23~25日は曇りか雨という天候が予想されるため、大自然を一望できる世界遺産・ブルーマウンテンズ国立公園へ足を延ばすなら、この日しかない。

 そう思い立ち、朝早くから迅速に仕事を片付けようと起床した。

 ところが、いきなり予期せぬトラブルに見舞われた。両腕のあちこちに赤いブツブツができ、痛痒い症状に見舞われたのだ。どうやらベッドバグ(南京虫)にやられたらしい。

 過去にもポルトガルの安宿などで数回経験しているが、これにはほとほと参る。ただ、2014年W杯のブラジルで強盗に襲われ、腕の骨にヒビが入ったことを考えれば大したことはない。

■欧州経験豊富な長身186センチCBの存在は重要

 そう気持ちを切り替え、原稿執筆を進め、現地午前11時(日本時間同9時)からのオンライン取材に参加。絶対的主力の遠藤航(シュツットガルト)ら4人の話を聞いた。

 1月下旬からの中国、サウジアラビアとの2連戦(埼玉)で吉田麻也不在のCB陣を力強く支えた板倉滉(シャルケ)は、今回も先発が有力視される。 

 吉田とは東京五輪でも準決勝のスペイン戦など3試合で先発コンビを結成。お互いの特徴を熟知している。

「麻也君とは五輪でも組んでいますし、隣にいてすごく頼りがいがある。本当に自分もそうなっていかないといけない」と25歳になった彼は代表常連組の自覚を口にした。

 冨安健洋(アーセナル)がケガがちで酒井も欠場する中、豪州のセットプレーやパワープレーを視野に入れると、欧州経験豊富な長身186センチCBの存在は、非常に重要となってくる。ここで一気にレギュラーを取りに行くべきである。

ブルーマウンテンズの雄大な山並みと壮大な緑に圧倒される

 意欲満々の彼らに勇気付けられ、日本のメディア仲間たちとシドニーから約100㌔西のブルーマウンテンズへ向かった。

 これは現地入りからお世話になっている元日本代表FW田代有三さんに勧められた名所。約4000㌔に及ぶ広大な敷地内にユーカリの森が広がる自然公園だ。

 13時半頃にエコーポイント展望台に着くと、眼前に広がるのは雄大な山並みと壮大な緑、そして「魔法で石に変えられてしまった三姉妹の伝説」が残る奇岩。広大なオーストラリア大陸ならではのスケール感だ。

 ウオーキングや散策も楽しめるということで、本来は2日間くらいかけてじっくり滞在するのが理想的というが、代表取材がメインの我々は、いつも観光地を足早に通り過ぎるだけになってしまう。

 それでもコロナ禍の2年間、海外との行き来がほぼ叶わなかったことを考えると、足を運べただけで十分満足。

 シドニーに戻る途中には、豪快なオージービーフのハンバーガーも味わうこともでき、小旅行は充実したものになった。

 それにしても……市街地から遠く離れた観光地でも、マスクをしている現地の人は、ほとんどいなかった。メディア仲間は、もちろん全員がマスク着用である。彼我の意識の違いを感じないではいられなかった。

ランニングは長友と吉田が先頭

 ハイウエーを飛ばして冒頭のスタジアムに到着。17時ギリギリに滑り込むと、森保監督と選手たちが集合していた。

 スタートのランニングはいつも通り、吉田と長友佑都(FC東京)が先頭を走る。年長の2人に東京五輪世代の板倉と中山雄太(ズヴォレ)も並走した。

 今回のオーストラリア戦、もしくは29日のベトナム戦(埼玉スタジアム)で7大会連続W杯出場が決まり、8カ月後のカタール本大会に日本が参戦したとしても、板倉らが長友や吉田と一緒に走る光景は、もしかしたら見られないかも知れない。

■オーストラリア代表も困難に直面している

 長谷部誠(フランクフルト)や香川真司(シントトロイデン)らが主軸を担っていた4年前もそうだった。

 今シリーズは、カタールW杯最終予選のラストとなる。若い世代は、貴重な一瞬一瞬を脳裏にしっかりと焼き付け、日本代表の歴史や誇りを引き継いでほしい。そう強く感じた。

 そのためにも、まずはオーストラリア戦の結果だ。勝てば文句なしにW杯切符を得られるというのは、日本のとって最高の舞台である。

 オーストラリアは2021年10月のホーム戦の際、スタメンでFWに陣取ったロギッチ(セルティック)がここへ来て戦線離脱。ムーイ(上海海港)とアーバイン(ザンクトパウリ)もコロナ陽性で外れるなど日本同様の困難に直面している。

 この機を逃す手はない。(つづく)

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