高木美帆は無期限休養、姉・菜那は引退表明…女子スピードスケート界に後継者がいない!
ライバルは意外にも少ない。
昨5日、スピードスケート女子の高木美帆(27)が都内で会見を開いた。北京五輪では1000メートルの金を含む4つのメダルを獲得。3月のW杯最終戦後は無期限休養を口にしていた高木は、「現役は、はい。やりたいなと思ったので、そう思い続けられる間はやっぱりやりたい」と引退は否定したものの、26年のミラノ・コルティナ五輪については「正直まだわからない」とした上で、「心身もギリギリの状態を削って挑んだ。この(北京)五輪はやりきったなと思えた。これからのスケートに対して、期限を決めたりしないでゆっくり考えたい」と、しばらくの間、休養に充てることを明かした。
同日、姉の菜那(29)は引退を表明。一時的ではあるが、メダリスト姉妹2人がスピードスケート界から距離を置くことになる。
「ひとつ下の世代がうまく育っていないのも現実」
とはいえ、世界でトップに君臨する日本だ。今後は次世代のメダリスト候補たちが高木姉妹の後釜を狙って火花を散らし合うのか……と思いきや、そう簡単にはいかないようだ。長野五輪500㍍銅メダリストの岡崎朋美氏が言う。
「美帆選手が休養を経ても、戻る場所は確実にあります。まず、彼女以上の選手がいないのが大前提としてありますが、トップ選手のひとつ下の世代がうまく育っていないのも現実です。これから数年間は佐藤綾乃選手がリーダーシップを取りながら、後輩たちの底上げを担う形となりそうです。しかも、日本代表をトップに押し上げたヨハン・デビットヘッドコーチが北京大会限りで退任。彼に帯同していたオランダ人のスタッフも帰国しました。つまり、コーチの編成もゼロからのスタート。今年は選手、スタッフ共に世代交代の年で、これから1~2年はスピードスケート界にとって我慢の時期になるでしょう」
14年ソチ五輪後に結成されたナショナルチームが成果を上げる中、個人選手を支えてきた実業団チームは衰退の一途。指導者不足も深刻だ。菜那が所属していた日本電産サンキョーも3月末に廃部になった。日本代表以外の受け皿が小さければ、次世代選手の育成は思うように進まない。
このジレンマをどう解消していくか。日本のスピードスケート界が大きな岐路に立たされていることは間違いない。