“格下”日本代表が最強軍団ブラジルと激突 相場の3倍「3億円」で王国を招聘できたウラ側
森保ジャパンがカタールW杯(11月21日開幕)出場を決めながら、いまひとつ話題にコト欠くサッカー界。2日のキリンチャレンジカップ・パラグアイ戦(札幌ドーム・収容4万2065人)のスタンドには空席がやたらと目立ち、観客は2万4511人にとどまり、これには代表選手も肩透かしを食らった格好である。5日のオンライン取材に応じた主将DF吉田麻也も「個人的には盛り上がっていると思っていたが、札幌のチケットが売れ残り、自分の肌感覚と違っていた」とニガ笑いするひと幕もあった。
ともあれ、6日のブラジル戦の注目度は絶大だ。
世界ランク1位・W杯優勝5回のサッカー王国が2002年以来20年ぶりに来日。6万人収容の新国立競技場で行われる初の国際Aマッチとあって、プラチナ化したチケットは早々に完売した。
■正真正銘のスター集団の来日
「ブラジル代表のレギュラー組11選手の移籍金総額は680億円といわれており、正真正銘のスター集団の来日です」とサッカー関係者が続ける。
「エースFWネイマールの年俸はアルゼンチン代表のメッシの52億円、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドの41億円を抑えて63億円と世界トップ。移籍金相場も2017年にバルセロナからパリSGに移籍した際の300億円よりも目減りしたとはいえ、150億円前後を維持している。レアル・マドリード所属のFWビニシウスやMFカゼミーロ、マンチェスター・ユナイテッドのMFフレッジ、パリSGのDFマルキーニョスといった主力選手の移籍金を合わせると680億円。日本代表はアーセナルのDF冨安健洋、フランクフルトのFW鎌田大地、リバプールのFW南野拓実らに15億円前後の値段がついているが、総額93億円でブラジルの7分の1ちょっと。王国の名にふさわしい金満チームです」
日本サッカー協会には3.5億円の実入り
そんな豪華絢爛な選手たちを招聘するのに日本サッカー協会(JFA)は「かなりの大盤振る舞いをした。ギャラとして相場の3倍に相当する3億円を払った」(放送関係者)ともっぱら。
「コロナ禍によってドル箱の日本代表戦が満足に行えず、カタールW杯の2次予選や最終予選の多くは無観客試合を強いられた。森保ジャパンの不人気もあって2021年11月のベトナム、オマーンとのアウェー戦は地上波のテレビ中継局が決まらないこともあった。JFAは2022年度予算として、収入が約192億円に対して支出を約238億円とはじき出し、約46億円の赤字を見込んでいる。今年3月には、2003年に購入した地上11階・地下3階のJFAハウス売却が発表された。そんな苦しい台所事情の中、ブラジル戦の興行的な失敗は許されず、4月に入るとJFAに登録している第2~4種などの年代別選手、女子サッカー、40歳以上のシニアのチーム代表者にチケットの先行販売の連絡があった。JFAの<絶対に満員にする>という意気込みが出ていた。日本代表のテレビ放映権料の相場は1試合=1億5000万円。国内開催の1試合平均の入場料収入は2億円。合わせて3.5億円の実入りとなり、何とか黒字になったとJFA関係者も胸をなでおろしている」(前出の放送関係者)
■アジアツアーはブラジルサッカー連盟の立案
コロナ禍によって財政が逼迫しているのは、ブラジルサッカー連盟(CBF)も同じ状況だ。
以前は「王国ブラジル代表を招待して親善試合をやりたい」という国が引きも切らず、遠征のたびに億単位のギャラが入った。しかしコロナ禍で南米以外の国と対戦する機会が激減。そこでCBF側が、今回の「2日にソウルで韓国戦」「6日に東京で日本戦」のアジアツアーを立案したという。ちなみにブラジルと韓国は<ユニホームのサプライヤーがナイキ同士>とあって「ナイキからCBFに相応のギャラが払われた」(前出の放送関係者)といわれている。
財政的にホクホクのアジアツアーとはいえ、ブラジル国内では疑問の声も。カタールW杯でグループリーグGに入ったブラジルはセルビア、スイス、カメルーンと対戦する。W杯本大会のことを考えるとアジア勢ではなく、欧州やアフリカと対戦した方がチーム強化に直結する。本大会前にわざわざ地球の反対側まで出かけて格下の日本、韓国と試合をする必要があるのか、というわけだ。
それぞれの思惑が交錯する注目の一戦は、6日午後7時20分にキックオフである。