渋野日向子に何が…スイング改造で自信喪失、“壁ドン”パットも影潜め全米女子プロ途中棄権
激しすぎる好不調の波
原因のひとつはスイングだ。スイング理論に定評のある小暮博則プロは6月25日付の日刊ゲンダイで渋野のスイングについてこう語っていた。
《渋野は手が長く、ハンドダウンに構えてから、肩よりも低いトップ位置にむけてフラットにクラブを上げている。左手首を掌屈させてフェースが閉じており、クラブを左に振り抜けばターゲットより左にボールが飛び出す。なので左へのミスを嫌ってインサイドアウトのアッパースイングの傾向が強く見られ、左にクラブが振れていない。そのためヘッドスピードも加速せずにボールは飛ばない。ティーアップしたボールならうまく打てても、フェアウエーからのショットでは、ダウンブローで左に振り抜く必要があります。グリーン左サイドのピンに向かってアッパーに振り抜けばダフリのミスが出やすく、つま先下がりのライではボールにうまくコンタクトできない。左右どちらのミスも出やすい》
3月のJTBCクラシックでは通算5アンダー28位で迎えた最終日に80の大たたきで72位。次戦のメジャー、シェブロン選手権は2日目に66と爆発。3日目は単独首位発進も、77と崩れ21位まで順位を落とす。「やっぱりダメか」とファンを落胆させると、最終日はベストタイの66で4位で終えるという、まさに「ジェットコースター」のようなゴルフである。
次戦のロッテ選手権も優勝を争っての2位。米ツアー初Vも近いと思われたが、今季はここまでトップ10が3回に予選落ちは3試合連続を含む4回。現状では、まったく先が読めない状態だ。途中、スイングを大きく改造するという事情はあっても、好不調の波が激しすぎるのだ。
欧州シニアツアーに参戦経験のある並木俊明プロもこういう。
「今のフラットなスイングは腰が痛いとか、体のキレがないときはクラブが下から入ってダフリや引っかけのミスが出やすい。プロは引っかけることがわかるので、防止しようとして右へ曲げるミスも出る」
■結果を残さなければという責任感も
さらに並木プロは、渋野のパットについてこう懸念する。
「渋野がプロ初勝利をあげた試合(ワールドレディスサロンパス杯)を現地で見ていた。『これは外すのではないか』と思っていた2メートル前後のパットを勢いよくボコボコ沈めていたから驚いた。その後、渋野の強気のパットは『壁ドン』と呼ばれるようになったが、今はそんなパットはまったく見られず、カップに届かないケースが多い。自信がないのか、最近は予選を通ることが目標というコメントをよく聞くようになった。目の前のスコアばかり気にしているのでしょう。人気選手になってスポンサーもたくさんつくようになって、怖い者知らずの時と違って、結果を残さなければという責任感もあると思う。広い米国は開催地域によってグリーンの芝質も違うし、西海岸に多いポアナ芝のようにやっかいなグリーンもある。パットがうまい古江(彩佳)はどんなグリーンでも対応するが、渋野のパットには迷いが感じられます。とはいえ、彼女の爆発力は女子プロの中では一番の魅力です。体調がよくなり、グリーン上での気持ちの持ち方を変えれば、ファンを魅了する笑顔が戻る日は遠くはない」
ファンもそれを願っているに違いない。