まず自分の思いを…巨人3年目の契約更改で「登板機会が欲しい」と訴えた
冒頭のコメントはそれに対する深谷代表の発言だ。フロントは翌年も契約するつもりで呼んでくれているわけで、後々のことも考えてそう言ってくれたのだと思った。たとえ登板機会がなくても、そのまま巨人にいた方が長い人生においてプラスではないかと厚意で言ってくれたのだろう。
しかし、私の気持ちは変わらなかった。とにかく試合で投げたい、もう一度、勝負したいと伝えて、1回目の話し合いは終わった。
■「揉めたらしいじゃないか」
2回目の交渉相手は深谷代表でなく、山室寛之代表補佐だった。選手との契約更改交渉は、途中からどうやら山室代表補佐が行うことになったようだ。山室さんは翌98年6月から、深谷さんに代わって球団代表に就任することになる。
2回目の交渉で初めて会った山室さんは、開口一番、こう言った。
「ちょっと、あれだね。この間は、揉めたらしいね。契約のことで揉めたらしいじゃないか」
私は驚いた。1回目の交渉時は深谷さん以外に査定担当ともうひとり、その場には3人いた。彼らは私がゴネているとか、チームを出たがっていると受け取ったようだが、そうではない。