高校野球「夏の地方大会」で番狂わせ続出…強豪や春の王者が初戦で消えるカラクリ
偶然か、はたまた理由があるのか。
各地で行われる高校野球の夏の地方大会で、強豪校や春の王者といった「本命」が早々と姿を消す番狂わせが起きている。
12日はシード校の西城陽(京都)が京都外大西に1-8で完敗。相手も強豪校とはいえ、同校は今春の京都大会で京都国際や福知山成美などを破って優勝。波に乗っているはずだった。
今春の九州王者、神村学園(鹿児島)も同県のライバル校である鹿児島実に敗れ、初戦で消えた。「九州王者のプライドをはき違えていたかもしれない」とは、主将の福寿(3年)の弁だ。
春の県王者といえば沖縄水産(沖縄)もそうだ。春ベスト8の未来沖縄相手に初戦敗退。沖縄では春ベスト4の前原、昨秋ベスト4の北山も初戦で涙をのんだ。
初戦で散った実力校はほかにも山ほどある。
沖縄と地理上、対極に位置する北海道も波乱続き。今春の北海道王者・札幌第一、昨秋準優勝の旭川実、昨夏の甲子園に出場した帯広農がいずれも地区予選で敗退。春を制した秋田商(秋田)がノーシードの湯沢翔北に0-2と完封負けすれば、昨秋の県大会で近江と接戦を演じ、優勝候補の一角にも挙げられていた滋賀学園(滋賀)も11日、伊吹に土をつけられた。
■春制覇で“お腹いっぱい”と慢心
負けはせずとも、初戦で苦戦を強いられた強豪校もある。甲子園常連校の花咲徳栄(埼玉)は武蔵越生と対戦。今春、春日部共栄との打撃戦を制した相手に一進一退のシーソーゲームとなり、6-4で辛勝。岩井監督も試合後、「夏の怖さを知った」とため息を漏らした。
今春王者の仙台育英(宮城)も初戦で昨年センバツ出場校の柴田に苦戦。6-4で勝利したものの、4点リードの九回に2点差まで猛追された。
これまで多くの監督が「初戦が一番難しい」と口にしてきたとはいえ、春の活躍が見る影もない高校が多いのはなぜか。高校野球に詳しいスポーツジャーナリストの田尻賢誉氏はこう分析する。
「毎年、春で“お腹がいっぱい”になる学校はいくつかあります。春は勢いで勝ったものの、もともと夏に勝つ実力が伴っていないケースはもちろん、実力があっても春に勝ったことで『俺たちは強い』と慢心してしまうケースも多々あります」