横浜移籍後の98年、キャンプ初のブルペンで最初にボールを受けてくれたのは権藤監督だった
権藤さんを相手にさすがに全力とはいかなかったけれども、気持ちを込めた立ち投げをしたことを鮮明に覚えている。わずか3、4球だったが、権藤さんはよし、よしという感じでうなずいてくれた。
監督として私がどの程度の仕上がりなのか、実際に球を受けることで知りたかったのかもしれない。が、それ以上に、しっかり這い上がってこいよ、という権藤さんなりのメッセージだと思った。
■さりげなくメッセージを発信する人
権藤さんは私が初めてブルペンに入ったからといって、こちらに寄ってきて頑張れよなどと声を掛けるタイプではない。節目節目で、さりげなくメッセージを発信する人だ。それでも初めての環境で、最初にだれが自分の投げるボールを捕球してくれるかというのは私の中で結構、重要な意味があった。
プロ入りした当時、近鉄のサイパンキャンプの初ブルペンで、当時の正捕手だった梨田昌孝さんが捕球してくれたことで、私のテンションは確実に上がった。横浜に移籍して最初に投げたボールを、権藤さんが受け止めてくれたことで改めて気持ちは奮い立った。(つづく)