これからの10年、サッカーの最前線で指導者として全力で働きたい
選手たちと一緒にチームを作っていく
「根本的には、どの国で指揮を執っても変わらないと思います。選手たちと<一緒にチームを作っていく>という部分は変わりません。しかし、タイでは言葉による意思の疎通が日本ほどスムーズに図れません。なので事前に用意した映像をやパワーポイントを使い、視覚的にチーム戦術などを伝えるといった手法も取り入れてやっています」
これまで多くの日本人指導者が、多くの日本人Jリーガーがタイに足を運んだ。
Jリーグもアジアとの連係を深めるために2012年に「アジア戦略室」を設置。同年にタイのプレミアリーグとパートナーシップシップ協定の締結したことを皮切りにベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、イランとパートーナーシップを結んだ。現在はマレーシアとカタールとも締結している。
タイ代表選手のJリーグ移籍の道筋も出来上がっており、札幌でプレーしていたタイ代表MFチャナティップが、今季J1開幕前に川崎フロンターレに完全移籍すると5月、石井監督率いるブリーラム所属のタイ代表MFスパチョーク・サラチャートが札幌に期限付き移籍することになった。
■Jリーグの「アジア戦略」を深めたい
「日本とタイとの連帯が深まることは、両方の国のトップリーグで監督をやらせていただいたこともあり、本当に嬉しく思っています。タイ人選手というのは、それなりのクラブでプレーしてタイ代表に選ばれ、それなりのサラリーを獲得すると満足してしまい、さらなるチャレンジを忌避する傾向にあります。23歳のスパチョークが札幌で活躍し、タイリーグの若い選手たちのお手本になったり、Jリーグの良いところをタイに持ち帰ってタイサッカーのレベルアップに寄与するという流れが出来れば、サッカー人としても大きな喜びです。スパチョークがいなくなり、もちろんブリーラムにとっては戦力的に痛手となりましたが、東南アジアサッカー全体にとって大きなプラスと思っています」