玉鷲37歳10カ月での最高齢V! 驚異の“サンドイッチ”稽古が「老いてなお強い」を下支え
この記録を塗り替える者がいるとすれば、それは自分自身か。
■3年ぶり2度目V
前頭3枚目の玉鷲が自身3年ぶり2度目の優勝。37歳10カ月での賜杯は、年6場所制が定着した1958年以降、史上最年長。2012年5月場所を37歳8カ月で制した旭天鵬(現大島親方)の記録を更新した。
25日の千秋楽の相手は怪力で鳴らす元大関の高安。玉鷲は立ち合いのかち上げにひるむことなく、冷静にいなしてノド輪と突きの猛攻。高安にペースを握らせずに、押し出した。
優勝インタビューでは、いつも通りニコニコと笑顔を見せながら、「何が何でも自分の相撲を取ろうと思いました」と話した。
老いてますます盛んの玉鷲。30歳を越えてから右肩上がりに強くなっている異例の力士だが、もちろん努力の裏付けがあってのことだ。
「玉鷲がこれまで苦手にしていたのは、横に素早く動ける力士。得意の突き押しも、横に回り込まれると威力を発揮できませんからね。その欠点を補うため、玉鷲が工夫したのが2人を相手にしての稽古。正面に1人、自身の背後に1人付かせた体勢から相撲を取っていた。正面の力士を押しつつ、後ろの力士を振り切るように横に回り込む。左右の動きの激しい力士への対処を念頭に置いた稽古です。昔も土俵際で組まれた状態で稽古を開始する力士、2人がかりで押させる力士などいたが、玉鷲のような稽古は見たことがない。いかに工夫しているか、ですよ」(古株の親方)