著者のコラム一覧
生島淳スポーツジャーナリスト

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大卒。広告代理店勤務後、スポーツジャーナリストとして独立。高津臣吾著「一軍監督の仕事」「二軍監督の仕事」(ともに光文社)の企画・構成を担当。「エディー・ジョーンズとの対話」「箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ」(ともに文芸春秋)など著書多数。

(2)村上宗隆との邂逅 二軍監督時代に「未来のスワローズの4番はこの男しかいない」と

公開日: 更新日:

 2017年のドラフトで、ヤクルトは当初、早稲田実業の清宮幸太郎を指名した。しかし、7球団の競合抽選となり、清宮は日本ハムへ。ヤクルトは外れ1位で村上を指名したが、ここでは巨人楽天と競合した。もしも、村上がこのどちらかの球団に行っていたら──。プロ野球の歴史は変わっていただろう。18年に村上はヤクルトに入団したが、当時、二軍監督を務めていたのは高津臣吾監督だった。当時の村上を監督はこう振り返る。

「この高校生は、なんなんだ! という驚きがありました。持っているものが違う。何より体の大きさ、強さ。それにスイングスピードも申し分ない。未来のスワローズの4番は、この男しかいない。それは球団としての総意であり、二軍ではどんなことがあろうと、4番に固定すると決めました」

 18年、村上の二軍での成績は打率.288、本塁打17本を記録し、9月16日には一軍に昇格した。その意図を高津監督はこう説明する。

「1年目にちょっとでもいいから一軍の空気を感じることが、翌年以降の成長につながると思ってました。打てなくてもよい。でも、ムネは初打席で打っちゃったけどね(笑)」

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