オリックス中嶋監督の“鉄仮面”には感心する 試合中に感情の揺れがまったく感じ取れない
試合後も選手を責めず、「打たれたけど、打たれたよりも、次またやり返すことを期待します」と淡々と語ったコメントを見て、いよいよ感心した。
この中嶋監督を向こうに回して戦ったパのライバル5球団の監督は、さぞ不気味に感じただろうと思う。中日の落合博満元監督もそうだった。
私も横浜監督時代は、打っても打たれても、とにかく一喜一憂しないことを心がけた。帽子の内側に、「無理せず、急がず、はみ出さず、自分らしく、淡々と」と走り書きしたメモ紙を忍ばせ、勝負どころで帽子に手を当て自分に言い聞かせたものだった。
オリックスはレギュラーシーズンで首位に最大11.5ゲーム差をつけられながらリーグ連覇を果たした。チーム状態がなかなか上がらずに苦しんだが、中嶋監督は泰然自若として浮足立たなかった。監督の動揺は選手に伝わる。今季の大逆転優勝はそんな指揮官の功績が大。これぞ監督という立ち居振る舞いで、ベンチでの無表情を見るたびうならされているのだ。
ヤクルトの高津臣吾監督も腹が据わっていてジタバタしない。たった4勝で日本一を決める短期決戦の日本シリーズは、勝つも負けるも、運のようなもの。結果はどうなろうと、143試合のペナントレースを制した両軍監督の評価は揺らぐものではない。