侍Jが恐れる「大谷WBC辞退」の大どんでん返しも…本人、エ軍ともに“出場は百害あって一利なし”のワケ
「ショウヘイはまだ決断していないが、ペリー(ミナシアンGM)はオオタニの決断を尊重するだろう」──。
日本時間9日、エンゼルス・大谷翔平(28)の代理人を務めるネズ・バレロ氏が、来年3月開幕のWBC出場についてこう明かした。
バレロ氏は「最終的には大谷が決めることだが」と前置きしたうえで、「出場するとなれば、どうアジャストして調整するかは賢明な判断を下すだろう」と話した。
大谷のWBC出場を巡っては、これまでエ軍のミナシアンGMが「我々に拒む理由はない。先発でも抑えでも右翼でも左翼でも好きなようにやってくれて構わない。彼がやりやすいようにバックアップするつもり」と協力的な姿勢を見せてきた。
■球団は売却交渉中
WBCは大リーグ機構(MLB)と選手会(MLBPA)による主催で、球団は本来、大会に協力すべき立場。主力選手の派遣に難色を示したくても、表向きには出場を容認するしかない。ミナシアンGMが大谷の出場を後押ししているのは、主催者側への配慮だ。実際問題、エ軍は二刀流を派遣する余裕はない。現在、球団売却に向けて交渉を進めていて、最大の売り時とも言える大谷がケガでもしようものなら、交渉自体が頓挫しかねない。
WBCに出場する余裕がないのは大谷本人も同じ。来季終了後には史上最高額も見込めるFAを控えており、国際大会よりもレギュラーシーズンで結果を残した方が得策だ。
「今回、大谷がWBCに出場するのは本人とエ軍にとって百害あって一利なしです」と大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏が続ける。
「かつてイチロー(マリナーズ)は胃潰瘍を患い、松坂(レッドソックス)は右肩の不調を訴えるなど、『WBCシンドローム(症候群)』といわれる後遺症に悩まされる選手は少なくありません。大谷は、この2年間でリアル二刀流をこなしているが、いずれも9月に失速している。心身ともに負担の大きいWBCに出場すれば、故障リスクが高まるだけで、『コントラクト・イヤー』の大谷にはデメリットでしかない。エ軍の売却額は史上最高額の30億ドル(約4360億円)と予想されていますが、万が一でも大谷が二刀流を継続できないほどの重傷を負えば、球団の売却額の下落につながるのは必至。球団、大谷双方にとって『欠場』するのが賢明な選択だと思う」
大谷は今や日米はもちろん、全世界が注目するスーパースターにまでのぼりつめた。MLB、MLBPAのビジネスを考慮すれば、出場を打診された以上、むげにはできない。