五輪汚職事件は捜査終結、森元首相“また逃げ切り”…政界ルートに迫れない特捜部の腰砕け
さらにモヤモヤするのは、組織委会長に君臨した森喜朗元首相の“逃げ切り”だ。特捜部は森元首相を参考人として事情聴取したものの、森元首相自ら根回しに動いた神宮外苑再開発疑惑にはノータッチ。森元首相が会長を務めた一般財団法人「嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」の怪しいカネも未解明のままだ。
「検察側はこの財団の銀行口座に東京五輪招致委員会から1億4500万円が支払われ、使途不明になっていることを突き止め、口座記録も押収。ほかにも大手企業から巨額の資金が振り込まれた疑惑もくすぶっていた。ところが、財団は2020年暮れに閉鎖され、その資産を別の一般財団法人に引き継いだ疑いすらある」(検察事情通)
これまで森元首相はカネにまつわる多くの疑惑が浮上しても捜査の手が及ぶことはなかった。今回もまた逃げ切るのか。「東京五輪の大罪」などの著書がある作家の本間龍氏はこう言う。
「世論の関心の高い五輪汚職の政界ルートについて、特捜部は一歩も踏み出さなかった印象です。高橋被告の口が思いのほか、堅かったのは誤算かも知れませんが、これでは高橋被告に全責任をかぶせたも同じ。『大山鳴動して』の展開です。特捜部には『終結』ではなく、あくまで『一区切り』で再び捜査に動き出すことを期待します」
巨悪を眠らせてはいけない。