メッシはW杯試合後、主審を「力不足」とガチ切れ 選手が審判にする抗議にはどんな意味が?
ここまでのケースはまれだが、選手が判定に“物言い”をつけるのはどの試合でも必ず見られる光景だ。
■海外でプレーした元GKに聞いた
しかし、FIFA(国際サッカー連盟)の公式ルールブックには、「レフェリーの決定に対し、抗議によって異議を唱えたプレーヤーは警告を受けなくてはならない」とあるし、そもそも抗議したところで判定が覆ることはまずない。まったく無意味にも見えるこの行為に、いったいどんな目的があるのか。「審判も人間なので、心理戦のような側面もあるのです」とは、ソロモン諸島やタヒチ、メキシコなどで日本人初のGKとして活躍した麻生弘隆氏。
「自分がファウルを取られた際に何らかのアピールをしないと、次に似たような場面があった時、審判は同じように笛を鳴らすでしょう。それを避けるため、予防線を張る意図があるのです。審判は基本的に自分のジャッジに自信を持っています。選手がアピールをすることで、審判の慢心も防ぐことができる。海外では、審判への異議は必須事項でしたし、特に得点に直結するPA内にいるGKは、絶対にしなくてはいけません。現役時代、自軍のPA内で明らかにファウルじゃないのに、私が笛を吹かれてPKを取られたことがありました。『今のはなぜファウル?』『相手の足を引っ掛けたでしょ』『いや、ボールにいったよ』……、というようなやりとりをした。頭の中では判定は覆らないだろうと思いつつも、『これで次はもっと注意深くジャッジをしてもらえる』なんて考えていました。ちなみに、『どうして今ファウルなの?』というのは“質問”なので、抗議ではありません。中には、本気で審判に怒りをぶつける選手もいますけどね(笑)。抗議としてペナルティーを与えるかどうかは審判の裁量によります」
ピッチの上では選手同士だけではなく、審判とも巧みな駆け引きが行われている。