森喜朗元首相の「接待漬け」が五輪汚職公判で明るみに…検察の不問は許されるのか

公開日: 更新日:

「これでいいのか!」と検察に不信感を抱いた国民もいるのではないか。東京五輪汚職事件は、贈賄側5企業の初公判が全て終了。次々と明るみに出たのは、大会組織委員会会長だった森喜朗元首相への「おもてなし」だ。

 立件された5ルートのうち3ルートで、森氏は企業トップから料亭などで接待を受けていた。いずれも引き合わせたのは、受託収賄罪で起訴された組織委元理事の高橋治之被告だ。接待する側には五輪最大の実力者の森氏に接近する意図があった。

「何だかんだ決めているのは森さんだから」──。昨年12月、AOKIホールディングス前会長の青木拡憲被告の初公判では、検察側が衝撃的な供述調書を読み上げた。

「高橋・青木両被告が話し合う場に同席したAOKIの元幹部の供述です。『何だかんだ決めているのは森さん』という言葉は2017年6月、高橋氏が青木氏に語りかけたもの。翌7月に高橋氏は経営していた東京・六本木のステーキ店で自身と森氏、青木氏らとの会食をセッティングし、この場で青木氏は『日本選手団の公式制服をお願いしたい』などと森氏に打診。青木氏は捜査段階で『好感触を得た』と供述していた」(司法関係者)

 AOKI側の出席者は会食でのやりとりの一部を録音。森氏はAOKIのライバル企業の具体名を挙げ、「好意を抱いていない」旨を冗談交じりに打ち明けたとされる。

 前会長らの逮捕を受け、AOKIは「ガバナンス検証・改革委員会」を設置。今年3月公表の報告書で、17~21年に青木氏が費用を全額負担し、森氏を複数回接待したと認定した。18年9月に青木氏が「五輪で実現したい8項目」をまとめた要望書を高橋被告に手渡した接待の場にも、森氏は同席。8項目には「公式制服の製作」も含まれていた。

 公式制服の製作は、JOC(日本オリンピック委員会)が公募で選定。報告書には19年6月の申請書類の提出直後、AOKI側に高橋被告が「入札価格が他社よりも高い」と連絡、電通の役員を紹介して面談するよう助言したと記してある。

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