増位山の極意に見る技の奥深さ「内掛けは相手が警戒した方が決まりやすい」

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 相撲界には「前まわしを取ったら自分の手を拝め」「上手出し投げはあごで打て」「差し手の方へ斜めに寄れ」など、数々の定石が受け継がれている。そうした言葉を、親方から弟子へのアドバイスや取材の中で聞けた時は、その道の人にしか分からない奥深さに触れた思いがする。中でも一般人の思い込みと反対のことを言われると、目からウロコがいくつも落ちた気になるものだ。内掛けの名人として知られた大関2代目増位山(円内)が三保ケ関親方になってから、極意を聞いたことがある。

「内掛けは相手が警戒してくれた方が決まりやすいんだよ」

 警戒することで、力を入れるところ、重心や足の位置などが微妙に変わり、バランスが崩れやすくなるからだという。親方は続けた。

「だから私は警戒させようと立ち合いからいろんなことをした」「外掛けは足腰のいい相手には効かないことがあるけど、内掛けは足腰のいい相手でも食う」「特に体が反りやすい相手に効く」

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