アーティスティックスイミングは「ルール変更」で勢力図が激変! 全出場国がメダル射程圏内の“怖さ”
各国の序列がなくなったことで、情勢は大きく変化している。武田氏が話を引き取る。
「5月頭にパリで行われたプレ大会(W杯)が象徴的です。五輪参加チームがすべて揃っていたわけではありませんが、これまで目立った成績を出していなかったメキシコがチームのAR、英国はデュエットのTRで優勝しました。すべての国がパリ大会でメダルを取れる可能性がある。しかも、今大会から予選が撤廃されたから、本当に何が起こるか分からない。どのくらいの難易度で本番を迎えるべきか、各国で極限までの心理戦、試行錯誤が繰り広げられている状況なのです。本番まで3カ月を切った今もなお、デュエットのメンバーは固定されていないのもそのためです」
ぶっつけ本番での一発勝負――。そんな中、日本にとって好条件に働くことがある。チームのTR、FR、ARという演技の順番は追い風になりそうだ。
「日本が最も得意とするTRから始まるのは幸運と言えます。ここで勢いに乗れたら心に余裕ができる。そのままミスなくFRを終えたら高順位につけているはずです。最後のARは新曲でまだ試合の場で泳ぎ慣れていないので、TR・FRの良い波に乗ったままミスなく終われば、メダルは堅い。実力で上を行く中国が日本のTRの結果に焦ってミスをするようなら、史上初の金メダルが見えてきます。メダルの条件はとにかくミスをしないこと。デュエットにも同様のことが言えます」(三井氏)