危機的状況で迎えた南アW杯直前…闘莉王が「俺たちは弱い。球際を厳しく」と言い出した
新主将・長谷部は2学年下。「ハセは凄く真面目。まあ俺と闘莉王の間では認めてないけど」と冗談交じりに語っていたが、その長谷部と右サイドで連係しながら良好な関係性を築いた。
「南ア入り直後のジンバブエとの練習試合で、圭佑を1トップに置いた4(DF)-3(MF)-3(FW)にトライした時には『えっ、俺って右(サイド)?』って思いました(苦笑)。ボールを受けた時にもハセとの距離が遠くて、前には圭佑1人。後ろから右SBのコマちゃん(駒野友一)が来るのを待てばいいのか、ハセを待てばいいのか、分からなかった。少し時間が経って『これって自分で行けってことか』と。自分と圭佑、(左サイドの大久保)嘉人の3人で攻める形なんだと腑に落ちました」
良い意味での割り切りが、あの歴史的ゴールを生み出したのだ。
「右サイドからニアをずっと狙っていたんですけど、なかなか思うところに行かない。同じことをしていてもダメだし、相手にも読まれる。『だったら切り返すしかない』と思って、左足でファーに入れたら圭佑が決めてくれました。ゴールというのは、ある意味『交通事故』みたいなもの。そんな感覚がありました」