大谷の「左翼守備」前倒しに現実味…ドジャース投壊で「DH問題」は輪をかけて深刻に
2戦連続の逆転勝ちで後半戦のスタートを切ったドジャース。
日本時間21日には腰の張りで負傷者リスト入りしていたエース右腕のグラスノー(30)と、左肩の手術明けでサイ・ヤング賞左腕のカーショー(36)の復帰が決定。グラスノーは25日、カーショーは26日に先発する。
故障者続出で苦戦が続いていた流れが変わりそうな裏側で、大谷翔平(30)の左翼守備が前倒しされるかもしれないという。
先の球宴でのこと。カブスの今永昇太(30)からどんなグラブを使っているのかと聞かれた大谷は、「外野手用のグラブを改良して使っている」と答えた。
キャンプには一塁ミットと外野手用のグラブを持参。4月に左翼の守備位置でコーチの助言を聞きながら軽めの守備練習をした際には外野手用グラブを使っていた。20日の試合前に塁間程度の距離の軽いピッチングをした際にも同様とみられるグラブを使った。投手としてのリハビリを行うと同時に、来たるべき日の外野守備に備えているのだ。
ドジャースは前半戦最後の13試合を4勝9敗と負け越し。そのうち10失点以上が4試合、9失点が2試合と、投壊は深刻だ。開幕から先発ローテを守っているのは2人だけ。グラスノーとカーショーが復帰するといっても、ともに“病み上がり”だし、ベテランのカーショーにいたっては手術明けだ。期待はできても計算は立たない。現状を考えたら打線でカバーする以外にない。
そこで改めてクローズアップされるのがDH問題だ。
DHは本来、主力が代わる代わる休養のために利用するポジション。
昨年、ドジャースのDHだったマルティネス(36=現メッツ)は162試合中、113試合に出場しただけ。捕手のウィル・スミス(29)は14試合、三塁手のマンシー(33)は10試合、DHで出場している。
休養を兼ねたDHで主力を起用することによって、コンスタントな攻撃力を維持することもできた。
ところが、今季のDHは、ここまで完全休養が3試合しかない大谷が独占している。かといって打率.315、29本塁打、69打点と、現在、チーム3冠どころか、チームナンバーワンの23盗塁をマークしている大谷を休ませるわけにいかない。昨21日は5試合連続安打となる二塁打を放つと、2打席連続申告敬遠で出塁して勝利に貢献した。
主力がDHを休養の場として使えないだけに、例えば大谷の後の2番を打つ好打者で、守備の負担の大きい捕手のスミスは完全休養させるしかない。左手骨折で戦列を離れている遊撃のベッツ(31)が、当初の見立て通り8月下旬にも復帰するようであれば、DH問題は輪をかけて深刻になる。
大谷が打ちまくったとしても、他の主力がDHで休みながら試合に出場できなくなれば、チーム全体の得点力はダウンしかねない。投手陣が脆弱だからこそ、攻撃力の低下はそれこそ死活問題になる。