大谷ドジャースにあってヤンキースにないもの…金満で大人気の両球団“似て非なる”チーム作り

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 今回のワールドシリーズは、東西を代表する老舗名門球団同士の頂上決戦になった。

 米紙「USA TODAY」(電子版)によれば、今季開幕時の年俸総額はヤンキースが約455億円で30球団中2位。ドジャースは約375億円で同3位(同1位はメッツの約458億円)。レギュラーシーズンの観客動員数はドジャースが約394万人で同1位。ヤンキースは約331万人で同4位。ともにメジャーで一、二を争う資金力と人気を背景に、ドジャースは大谷翔平(30)、ヤンキースはジャッジ(32)という両リーグの本塁打王を擁して打線の破壊力がバツグンのチームを築き上げた。

■ヤンキースはマイナーの人材が枯渇

 異なるのはフロントのチームづくりだ。

 ドジャースが今季まで12年連続でプレーオフに駒を進めているのに対して、ヤンキースはここ12年中4回、ポストシーズン進出を逃している。2013年は地区3位、14年は同2位、16年と昨年は同4位に沈んだ。

「ヤンキースのキャッシュマンGMは、毎年のようにカネを湯水のごとく使いながら昨年のような取りこぼしが目立つ。有力選手をトレードで獲得するために若手有望株を放出、マイナーの人材が枯渇するためチームの新陳代謝がスムーズにいかない。戦力を長期的に維持できないのです。その手法は度々、NYメディアにバッシングされています」(現地特派員)

 典型が昨年12月のトレードだ。キャッシュマンGMはソト(25)を獲得する見返りに、計5選手をパドレスへ放出。5人の中には今季13勝のキング(29)や正捕手になったヒガシオカ(34)、さらに若手有望株も含まれていた。ソトは地区優勝と今回のリーグ優勝に大きく貢献したが、「将来のエース候補や若手有望株を手放したツケは来年以降に来る」と先の特派員はみている。

■ドジャースには先発の核になる生え抜きが上がってくる

 そこへいくとドジャースのフリードマン編成本部長は「勝利と育成」を両立させた。同編成本部長はウォール街出身。レイズのGMとして極貧球団を常勝球団に。14年オフ、ドジャースの編成責任者に就任すると、真っ先に取り組んだのはマイナーなど下部組織の充実、編成に携わるスタッフの刷新、スカウトの育成だった。

 オフに大谷をはじめ山本由伸(26)やグラスノー(31)などの大物を買い漁る一方で、毎年のように先発の核になるような生え抜きがマイナーから上がってくる。昨季はルーキーのミラー(25)が11勝(4敗)、今季は実質メジャー1年目のストーン(26)が11勝(5敗)した。

 MLBの公式ホームページによれば、今季のチーム別若手有望株のランキングでドジャースは30球団中5位。ヤンキースは同18位だった。

■選手会や他球団がMLBに抗議するほど

 ただし、ドジャースが勝利と育成を両立させながらコンスタントに結果を出している要因はカネとアタマに限らない。

「古くはマエケンこと前田健太(36=現タイガース)の8年契約、最近は大谷、山本、佐々木朗希(22=ロッテ)のタンパリング疑惑。ドジャースはルール違反スレスレのズル賢いことまでやってきたがゆえに、いまの地位がある」と別の特派員がこう続ける。

「マエケンは16年から基本給約3億3000万円、最大で年間11億円超の出来高払いがつく8年契約を結んだ。とにかくドジャースでプレーしたかったマエケンの足元を見た契約には、メジャー選手会がいくらなんでもアンフェアだとかみついた。大谷や山本、佐々木に関しては実際に他球団がMLBに対して『ドジャースのタンパリングではないか』と抗議しているほど。ドジャースは裏技まで使っているからコンスタントに勝てるのです。ヤンキースも『悪の帝国』の異名を取った以前なら、札束で選手の横っ面を引っぱたいて他球団から強奪してきたものですが、いまやそれだけのパワーもありません」

 ドジャース対ヤンキースのワールドシリーズは日本時間26日から7試合とも午前9時8分に始まることが昨22日に決まった。1、2、6、7戦はドジャースタジアム、3~5戦はヤンキースタジアムで行われる。

■ヤ軍主砲「対決が楽しみ」

 今季、ア・リーグ2冠(58本塁打、144打点)のジャッジが日本時間23日、本拠地ヤンキースタジアムで会見。

 メジャー史上初の「50-50」(54本塁打、59盗塁)を達成した大谷について「素晴らしいアスリート。この競技で最高の選手であり、野球界のアンバサダー的存在だ」と持ち上げた。

 昨季までア・リーグの本塁打王、MVP争いを繰り広げてきただけに「(右翼を守る)自分の頭上を越える本塁打を放ったこともあった。彼とのマッチアップを楽しみにしている」と心待ちにした。

  ◇  ◇  ◇

 日本国民はもちろん、実はMLBやドナルド・トランプ贔屓の米放送局FOXまで、大谷を熱烈に応援しているという。いったいなぜか。大谷の活躍によって得られる「莫大なメリット」とはどれほどのものなのか。いま、米球界で何が起きているのか。

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