メジャーを席巻「魚雷バット」を徹底分析…ヤンキースはなぜ奨励したのか、その効果は?
■では魚雷バットの効果は?
トルピードバットの効果については諸説あるが、筆者は「中の上」から「中」レベルの打者の飛距離を3~5メートル伸ばす効果があるとみている。それを前提にヤンキースで開幕から4月12日までに出た26本塁打を一本一本、動画でチェックしていったところ、フェンスをギリギリ越えてスタンドの2列目までに飛び込んだ一発が10本あり、そのうちの7本はトルピードバット使用者のものだった。内訳はボルピー3本、ウェルズとチザムが各2本である。ボルピーは昨年12本しか記録していないので、トルピードバットで大化けする可能性が出てきた。
トルピードバットを奨励した効果は確かにあった。
ただ、ヤンキースをポストシーズンに進出させる切り札にはなりそうもない。
トルピードバットで出た7本塁打のうち6本は開幕3試合目までに出たもので、それ以降は相手チームの投手がヤンキースのトルピード使用打者に、フライ打球を打たれないような攻め方をするケースが多くなったので4試合目以降は10試合で1本しか「トルピード本塁打」は出ていない。
ヤンキースもその間は4勝6敗で負けが込んでおり、早くも苦しい展開になっている。