■公共財としての社会的共通資本への転換を
幸福とは何かを経済学の立場から考察した必読書がこれ。世界中のノーベル経済学賞受賞者から最も尊敬されている日本の経済学の泰斗である宇沢弘文は、経済学の本義たる「経世済民(世をおさめ、民をすくう)」の学の立場から、格差問題や原発問題の解決の糸口や、豊かさや幸福とは何かを示してくれる。
早くから自動車等の環境問題に取り組み、ベトナム反戦運動にも携わった宇沢は、他者を押しのける市場原理主義ではなく、みなが利用できる公共財としての社会的共通資本を提唱している。池上彰の解説が付されており、分かりやすい。
(東洋経済新報社 1600円)