「どぜう屋助七」河治和香著
■浅草の老舗「駒形どぜう」が舞台
嘉永7年、黒船の再来で江戸の町が騒然とする中、16歳の伊代は知人の紹介で「駒形のどぜう屋」として知られるドジョウ屋で働き始める。近郊で育った伊代には、浅草で耳目にするものすべてが初めてのことだった。
働き始めて数日後、巨漢の武士が店でさんざん飲み食いした後、金がないと言い出した。隠居の平蔵らが対応に苦慮していると、普段は店を放りっぱなしの主人の元七がどこからともなく現れ、代金を受け取りに武士についていく。そんな中、伊代を捜して兄の信太郎が店に飛び込んでくる。
老舗を舞台に、歴史に翻弄されながら店を守る元七と、店に集う人々を描いた人情時代小説。
(実業之日本社 1600円)