「病の起源、うつ病と心臓病」NHK取材班著
昨年放送された「NHKスペシャル」の書籍化。世界の患者数3億5000万人といわれるうつ病と、世界の死因トップである心臓病について、根源となる原因を探っていく。
太古の人類が天敵の猛獣から身を守るために進化させたのが、脳の扁桃体。危険の回避策を編み出すためには、扁桃体を激しく活動させ、“恐怖の経験”を記憶として積み重ねることが不可欠だった。しかし、現代ではこの働きは生存に有利なことばかりではなく、心の傷やトラウマを生じさせる。つまり、強化された扁桃体の機能の暴走が、うつ病の根源であると本書はいう。
また、心臓病は重力に逆らった血流をもたらす直立二足歩行を獲得した人間の宿命とし、その予防方法なども解説していく。
(宝島社 1300円)