「男子の貞操」坂爪真吾氏
著者は性に関する罪悪感や偏見をなくすために、さまざまな活動をしている。その中でも斬新なのが、童貞向け通信講座だ。
「『ヴァージン・アカデミア』では童貞を卒業するためのセクシュアルリテラシーを学べます。セックスを特別視せず、相手との豊かな性生活を自分でつくり上げることが目的です。また、裸婦を素描するヌードデッサン会もあります。裸を性的にとらえるのではなく、人間の個性や魅力を学ぶ機会にするのです。巨乳、ロリ顔などの記号やファンタジーで興奮をあおられてきた男子はデッサンを通して、生身の女性を『血の通った生命』ととらえるようになります」
性交未経験者の高齢化や未婚率増加の背景を、今こそ男子が真剣に考えるべきだという。
「実はこの本で意図的に避けた言葉が『愛』です。愛という言葉は曖昧なくせに崇高にとらえられる弊害がありますから。男子が自己完結せず、自らの言葉で性を語れるようになるための教科書として書きました」
(筑摩書房 800円)