「日本軍と日本兵」一ノ瀬俊也著
最後に苛酷な新兵イジメでいまだに悪名高い大日本帝国陸軍の場合はどうだったのだろうか。本書は旧日本軍の軍隊研究の若手代表による新著。敵方の米軍の内部資料に描かれた日本兵の姿を通して日本軍を語るという新趣向だ。
日本人が頑強で、死ぬまで戦うという「超人」伝説が米兵を恐れさせたという。他方、いったん予期せぬ事態が起こるとパニックを引き起こす傾向にあるとも観察される。出征した都会出身の日本兵にはアメリカ映画の影響でお気に入りの米国人スターがいたともいう。「敵という鏡」に映った日本兵の不思議な素顔。
(講談社 800円)