「平蔵狩り」逢坂剛著
火盗改の平蔵は、鉄砲洲の沖合にある人足寄せ場に出入りする差配人の丹治を手下に見張らせる。
寄せ場は、無宿者や刑期を終えた者らを収容し、正業に就けるのを目的にしており、出入りする人間や荷物は厳重に取り調べられる。丹治は、筒持組の与力・文五郎から預かった何かを密かに寄せ場へ持ち込む運び屋を務めているようだった。
平蔵は、丹治が何を寄せ場に持ち込んでいるのかを突き止めたい。そんな中、寄せ場で女の面会人の出入り改めを担当するしづも、丹治の動向を調べていることが分かる。(「寄場の女」)
全6編を収録。池波正太郎へのオマージュを込めて書き継がれたハードボイルド時代小説。
(文藝春秋 1600円)