「南太平洋の剛腕投手」近藤節夫著
戦後の一時期、プロ野球界で技巧派投手として活躍した日系ミクロネシア人の波乱の生涯をたどる人物ノンフィクション。
その人ススム・アイザワは、トラック諸島で実業家として活躍していた日本人を父に、水曜島の大酋長の娘を母にして1930年に誕生。戦中、単身来日して、日本で旧制中学を卒業すると倉庫会社で働くかたわら、クラブチームで野球に打ち込み、毎日オリオンズへの入団を果たす。7年間で93試合に登板したススムだが、移籍先の球団解散で解雇となり、16年ぶりに戻った故郷で祖父から酋長の座を継承。
実業家としても大成したそのエネルギッシュで不屈の人生の軌跡を描く。
(現代書館 1600円)