「ライツ・オン! 明治灯台プロジェクト」土橋章宏著

公開日: 更新日:

 物語の舞台は、明治初期の長崎県伊王島。西欧は日本に航海の安全のため灯台設置を強く求めていたが、当時の日本には十分な明るさの灯台を造る技術がなかった。そこで招聘されたのが英国人技師のリチャード・ブラントン。彼は、日英ハーフで通訳の丈太郎と共に灯台設置予定地を検分して回っていたが、船の故障で長期滞在する羽目になった伊王島で、佐賀藩の天才発明家・田中久重と出会う。理不尽な階級差別から本国を飛び出したリチャードと、ハーフを理由に居場所が見つけられなかった丈太郎は、この出会いを契機に、リチャードはプロの技術者として、丈太郎はプロの通訳としての情熱を燃やす。次々と立ちはだかる障害に負けず、灯台は建設できるのか――。

 国も世代も異なる人々が力を合わせて困難なプロジェクトに挑む姿を描いたエンターテインメント小説。シナリオ大賞の受賞経験のある著者らしく、魅力あふれる登場人物の爽快な物語をテンポよく読ませる。

(筑摩書房 1400円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動