「なぜ皮膚はかゆくなるのか」菊池新著
“痛み”とは違い“かゆみ”という症状は軽視されがちだ。しかし、最近になってようやく研究が進み、かゆみの仕組みが解き明かされてきた。本書では、かゆみというやっかいな感覚にまつわるさまざまなメカニズムを紹介している。
モルヒネを使うと体がかゆくなることがあるが、これは副作用ではないという。痛みとかゆみが同時に発生しているとき、大脳に至る神経の中継地点では、緊急対応が必要な痛みだけを伝え、かゆみの信号を抑制する。ところが、モルヒネによって痛みの神経が鈍くなると、かゆみだけが大脳に伝わり、結果として体のあちこちがかゆくなったように感じるのだという。過去の記憶とかゆみ、ストレスとかゆみなどの不思議な関係も明らかにしていく。
(PHP研究所 760円)