「防犯カメラによる冤罪」小川進著
さらに千原氏は、“自転車を押す男”は足の部分が隠れており、身長の推定値には大きな誤差が生じるとして169~190センチと鑑定した。ところが橋本氏は、170~175センチと鑑定。いかに巧妙なデジタル処理を施しても、写っていないものまで鑑定するのは不可能だ。橋本氏は画像からではなく、容疑者の身長を知った上で鑑定を行ったと考えざるを得ない。本書では、実際に鑑定に用いられた画像もフルカラーで掲載している。
他にも、橋本氏が担当した数々の事件の鑑定結果について、不可解な点を列挙している。冤罪が生み出されやすい画像鑑定の実態に、空恐ろしくなる。
(緑風出版 1600円)