「反<絆>論」中島義道氏

公開日: 更新日:

<絆>とは本来、人を縛るものだ。夫婦や親戚、地域社会の<絆>が、無条件に“善いこと”ばかりを含まないのは、多くの人が体験的に知っているだろう。本来のマイナス面が消し去られ、明るい面ばかりがクローズアップされる。

「私は、<絆>はなるべく“ゆるい”方がいいと思っている。<絆>をあがめている人ほど、時に感じる<絆>の不便さに何も言えないものです。そして、<絆>に異論を唱えて参加しようとしない人を、“わがままだ”と言って裁き、縛り、むなしいつながりを持とうとする。これは、<絆>の劣化に他なりません」

 哲学的な視点から、自分の感覚と信念に忠実であれと教えてくれる本書。<絆>に不自由さを感じ、そこから解き放たれたいと感じている人は必読だ。

(筑摩書房 760円+税)

▽なかじま・よしみち 1946年福岡県生まれ。東京大学法学部卒業。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰。主著に「私の嫌いな10の言葉」「哲学の道場」「哲学の教科書」などがある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭