「舟を編む」三浦しをん著
大手総合出版社玄武書房で入社以来37年間、辞書編集に携わってきた荒木は、定年を控え、新たな辞書「大渡海」の編集を託す人材を探す。
荒木のめがねにかなったのは、営業部の馬締だった。
律義過ぎて周囲には言動がトンチンカンに見える男だが、言葉に対する鋭い感覚は辞書を編むために生まれてきたとしか思えない。辞書編集部で働き始めて3カ月、馬締が大学時代から暮らす下宿の大家、タケおばあさんは、彼の変化に気づく。
一方、馬締は部屋に出入りする猫のトラさんを介して、かぐやと名乗る女性と出会う。自分の感情が分からない馬締は、恋愛という言葉を辞書で引いてみると──。
本屋大賞を受賞したベストセラーの待望の文庫化。(光文社 620円+税)