冗舌な風景を支える、無口なデザイン
「UYUNI iS YOU」TABIPPO
あらかじめデザインされた空と大地、とは言い過ぎか。ウユニ塩湖。南米ボリビア、標高3700メートルにある塩の平原。刻々と変化する風景の写真47枚を厳選・収録する。誤解なきよう、自然現象そのままの写真集。絵面を例えるなら「逆さ富士」「蜃気楼」といったところ。しかし、いくら絶景でも本写真集と比べると、それらはあまりに「地球的」、陳腐に見えるかもしれない。
SF映画的/人工的とすら思えるほどに「整った」風景に驚嘆、言葉を失う。TV等で見聞きし知っていても、やはり呆然とし「絶句」するであろう。
本書の作り手たちも、言葉による解説をとうにあきらめ、ひたすら絶句し続けているかのようだ。写真集でも、ここまで説明文が少ないのは珍しい。扉として差し込まれるのは「片艶晒クラフト紙」か、青い極小文字で短い英文と和文が数文字置かれるのみ。しかもこの紙、裏が透ける。表裏に刷られた文字同士の干渉を避けるべく裏面には、不透明ホワイトインキの、天地2・5ミリ幅の帯が走る(白い紙に白インキ。目を凝らさないと分からない繊細さ!)。