著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

冗舌な風景を支える、無口なデザイン

公開日: 更新日:

 では、肝心の写真の印刷はどうか? 印刷インキや刷版(本番用の印刷原版)も、一筋縄ではいかない。担当した印刷所・サンエムカラーによると、油性・高輝度インキ+FMスクリーンで印刷されているとのこと。つまり、軽く明るい発色の特殊インキと、写真が持つ「情感」を漏れなく「版」に写しとる高度な技術が使われている。用意周到、読者の視線を写真の細部/深淵へと誘導する、芸の細かさが光る。

 ともあれ、写真集を眺めるとき「被写体の魅力」と「再現技術」のバランスに首をかしげることがままある。その点本書は、横長の判型からカバー・本文・インキ・製版まで「鉄板仕様」だ。「必然性」に裏打ちされた寡黙なデザインをご堪能あれ。

 鏡のように「反転した世界」について書くつもりが紙面が尽きた。またの機会にぜひ。(いろは出版 2700円+税)

▽みやぎ・あずさ 工作舎アートディレクター。1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

【連載】見た目で買った面白読本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動