「ボブ・マーリー よみがえるレゲエ・レジェンド」菅原光博、藤田正著
かつて「神」とまで言われたレゲエ・ミュージシャン、ボブ・マーリーが生まれて今年で70年。1981年、がんでわずか36歳という若さで早世した彼の生涯を、1979年に行った最初で最後の日本公演の記録を中心とした写真とともに振り返るビジュアルブック。
ボブ・マーリーとの出会いに「人生の中でもっとも素晴らしく、大きな影響を受けた」と語る写真家の菅原氏は、記者会見、そして東京で行われた4日間全6回のステージに密着して「一生に一度の、すべてを注ぎ込んだ」撮影を敢行。ザ・ウェイラーズのメンバーと共に記者会見に臨んだボブの素顔は、トレードマークのドレッドロックスを振り回すステージでのエネルギッシュな姿とは対照的に理知的で静かさをたたえている。
ボブ・マーリーは1945年2月、ジャマイカの山村ナイン・マイルで生まれた。母親は17歳の黒人で、年の離れた父親は首都から仕事で当地に来た軍人で実業家の白人だった。
父親から疎んじられる一方で、黒人コミュニティーの中で「白人顔の黒人」として小さい頃からねたみと差別にさらされながら育った。アフリカ回帰を唱える宗教運動ラスタファリアニズムにひかれ、黒人として生活を送りながらも、自分がどこに属する人間なのかを、事あるごとに考えていたという。