世界各地から若者たちが詰めかけているともいわれる「IS台頭の背景」はなにか
「イスラム教徒への99の大疑問」佐々木良昭著
ハウツー本のような書名だが、著者は自衛隊のサマワ派遣の際に隊員へのレクチャーを担当した専門家。自身も19歳でイスラム教に帰依したというムスリム(イスラム教徒)だ。
「慈悲と慈愛」を重んじるというイスラム教の地域に戦争が絶えないのはなぜか。イスラムが説くのは「神の教え」ではなく「命令」だから。善行も禁忌も具体的に命じられるため妥協ができないのだ。自殺を禁じるイスラム教でジハード(聖戦)が別格扱いなのは、それが神の大義に沿ったものなら天国に行けると信じられるから。しかしISやアルシャバーブなどは教えを政治的に利用しているだけ。「原理主義」というより「政治的イスラム」だという。豆知識形式で伝えるイスラムの発想と慣習。(プレジデント社 1600円+税)