【格差と資本主義】金融資本主義がもたらした中間層の転落

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「トマ・ピケティの新・資本論」トマ・ピケティ著、村井章子訳

 世界的なベストセラーとなったフランスの若手経済学者による「21世紀の資本主義」。その著者が左派系日刊紙「リベラシオン」に連載した時事評論をまとめたのが本書だ。

 時期はサルコジ右傾化政権からEU金融危機を経てオランド左派政権が誕生するまで。著者は左右を問わず歴代政権の経済政策を快刀乱麻で批判する。

 特に深刻なのは全所得の半分以上を上位1割の人間で占有されるだけでなく、生産設備や金融資産、不動産といった資産の蓄積がGDP(国内総生産)の5倍から7倍にまでふくらんでいること。これらの資産が一部の特権者に独占され、格差が固定する「世襲資本主義」の登場となったのだ。

(日経BP社 2200円+税)

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