「世界に嗤われる日本の原発戦略」高嶋哲夫著
出口の見えない原発再稼働論議に一石を投じる問題提起の書。
大部分の人は、福島第1原発の事故を人災と認識。過去の大きな原子力事故もほとんどは「人」による事故だったと指摘する著者は、「そうであるならば、原子力技術そのものは、まだ救うべき価値のあるものではないか」と問いかける。
太平洋岸の原発である女川原発なども地震・津波に襲われたが「冷温停止」という3段階中の2段階目の安全性が保たれた。原発のすべてを福島第1と同様に扱うことは間違っていると説く。さらに日本の原発がなくなっても世界では増え続けている現状や、大量に残る使用済み核燃料の処分問題などを検証しながら、原発の必要性について考える。
(PHP研究所 780円+税)