「貧困の倫理学」馬渕浩二著

公開日: 更新日:

 地球上の8人に1人が飢餓に苦しむ今、豊かな先進国に暮らしながら、世界の貧困問題を放置することは倫理的に許されるのか。この問いに取り組む先人たちの思想を紹介しながら、現代の倫理のあり方を提示する思索のための手引書。

 関係者の利益を増大させよという功利主義的な原則を採用する哲学者シンガーは、援助によって多数の貧困者の利益が増大するゆえに、豊かな国の住人には援助の義務があると説く。功利主義の対極にあるカント倫理学を採用するオニールは、「カント的に正しい世界」にもとづき、困窮した他者に対する援助を正当化する。各理論とそれに対する批判の論点を解説しながら、貧困問題に対する我々の義務について考える。

(平凡社 840円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    下半身醜聞の西武・源田壮亮“ウラの顔”を球団OBが暴露 《普通に合コンもしていたし、遠征先では…》

  2. 2

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  3. 3

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  4. 4

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  5. 5

    「二刀流」大谷翔平と「記録」にこだわったイチロー…天才2人の決定的な差異

  1. 6

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  2. 7

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  3. 8

    いまだ雲隠れ中居正広を待つ違約金地獄…スポンサーとTV局からの請求「10億円以上は確実」の衝撃

  4. 9

    キムタクがガーシーの“アテンド美女”に手を付けなかったワケ…犬の散歩が日課で不倫とは無縁の日々

  5. 10

    悠仁さま「渋渋→東大」プランはなぜ消えた? 中学受験前に起きた小室圭さん問題の影響も