「世界史で読み解く現代ニュース〈宗教編〉」池上彰、増田ユリヤ著
政治、経済、歴史などさまざまな視点から今のニュースを読み解いている池上彰氏。今回のテーマは「宗教」である。「ワイドスクランブル」(テレビ朝日系)のニュース解説コーナーでコンビを組む増田ユリヤ氏との共著だ。
「ニュースの背景に宗教があることは多いんです。例えば、イスラム国がなぜあんな蛮行を繰り返すのか。まさに現代に宗教原理主義の国を作ろうとしているわけです。彼らの狙いは、宗教を知らなければ理解できません」(池上氏)
本書はイスラム教、キリスト教、ユダヤ教という3つの一神教を取り上げているが、その成り立ちや歴史は、現代社会に深く影響を与えている。
「いまニュースになっている現象を考えるとき、歴史の初期にまで遡って見る必要があります。イスラム教はスンニ派とシーア派で対立していますが、初期のムハンマドの後継者の決め方が宗派の分裂につながり、今日に至るまでの火種になっているのです」(増田氏)
同じイスラム教徒なのにスンニ派とシーア派が殺し合いをしているのは、そうした歴史が理由だ。だからスンニ派のイスラム国にとってシーア派は絶対的な敵だが、キリスト教徒とユダヤ教徒は同じ経典の民として保護しているというから驚く。