「遊びとムダ」がうらやましい
「GATEWAY2015 01」米山
オムニバス書籍「GATEWAY」が創刊された。一折16ページにつき、1ユニット。各賞受賞/新進気鋭のデザイナーや写真家、エッセイスト、イラストレーターなどの作品を掲載。「人選と組み合わせ」に編集者のセンスが光る。
結論めいたことから書いてしまえば、余裕や無駄のないところに文化が息づく訳もなし。編集長を兼ねるデザイナーが書籍という沃野を自ら用意した、うらやむべきケースと言えるのかもしれない。
自分自身をクライアントにするのは意外と大変だ。1人2役。「やりたい放題」の半面、わがままの「正当性」を確かめ続けなければならない。最後はすべて自己責任。結構タフな状況だ。
さて本書の場合、「合理性」や「用意周到な設計的態度」などというメンドクサイものとの決別が感じられる。つまり「私の裁量」により「センスと勢い」で自由に突き抜けていきますよ、と。よく見ないと気づかないが、「型破り/規格外」の遊びとムダがひっそりと仕込まれている。野暮を承知で見て行こう。
まず、判型。A5を基準に天地を14ミリ、左右を5ミリ延ばした変型サイズ。面付けにもよるが、たったこれだけ大きくしただけで相当な「ムダ取り」になる。四六判の原紙の約4割を捨てる計算だ。文字関連では本文に凝った書体をあてる。清和堂明朝L─KS(ストロークがな)。