「童謡はどこへ消えた」服部公一氏

公開日: 更新日:

「童謡が再び脚光を浴びたのは、GHQの文化的指導のもとで昭和24年にNHKラジオ『うたのおばさん』の放送が始まったときでした。同時に、『かりそめの恋』などもはやりましたが、子供の前で大人の色恋を露骨に歌った歌を流すわけにいきませんからね(笑い)。子供向けの歌が必要だということで、レコード会社は童謡のレコードも量産し、どこの家庭でも童謡が聞かれるようになったわけです」

 しかし、テレビの登場により状況は一変する。

「民放で、リズミカルで親しみやすいCMソングが頻繁に流れるようになると、子供はそちらばかり口ずさむようになった。そのトレンディーさに対抗しようと、ラテン系リズムの『おもちゃのチャチャチャ』や僕も『アイスクリームのうた』などを作りましたが、テレビの普及に反比例してレコードが下火になると、童謡も巷から姿を消していきました」

 著者は童謡復興を主張したいわけではない。

「日本の文化史的に言うと、童謡を作る時代は終わっています。童謡の作曲家としては、せめて過去の童謡が完全に忘却されないように、歌い継いでほしいですね」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動