「太陽は気を失う」乙川優三郎著

公開日: 更新日:

〈私〉はひとり暮らしの母の見舞いと、幼馴染みの起則くんの墓参りのために実家に帰った。途中で会った92歳の老婆をスーパーまで送り届け、墓参りをすませた後、土手で昔の思い出などにひたっていた。すると、「いいから、早く帰ってやりなよ」と起則くんに言われた気がした。障がいがあったから、そんなにすらすらしゃべるわけがないのだが。家に着いて15分くらいしたころ、大きな地震があった。津波から逃れるために介護老人病院に避難したが、次々とけが人が運ばれてくる。あの時、土手であと15分もぼんやりしていたら……。(「太陽は気を失う」)

 人生の分岐点を描く14編の短編集。(文藝春秋 1500円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭