「銀座 歴史散歩地図 ─明治・大正・昭和」赤岩州五編著 原田弘・井口悦男監修
さらに、落語家の6代目円生がかつて金沢亭の隣には銭湯があったと書き残しており、地図を確かめると確かに「白湯」とある。寺田のエッセーに書かれた寄席の客が寿司の出前をとったと思われる寿司店なども地図の中から探していく。
読み、眺めるうちに、文章と地図との相乗効果で、当時の銀座の街が立体的に浮かび上がってくるようだ。
大正12年、関東大震災とその後の火事によって銀座は再び、火に包まれ崩れ落ちてしまう。その1年前に発行された「銀座通り案内」には、震災前の貴重な街並みが記録されている。
震災から7年後の昭和5年「復興大銀座地図」は、銀座大通りにデパートが次々と出現するなど、生まれ変わった銀座の様子を伝える。震災でさまざまなものが一変。それまで畳敷きで下駄を脱いで上がっていた日本橋三越は、震災後には土足で入れるようになり、お子さまランチの登場もこの年だという。
そうした風俗の変遷なども紹介しながら、さらに戦争を乗り越え、現在へと続く銀座の移り変わりを詳細にたどる。